DV加害者の最大の武器 — 「許し」を操る巧妙な支配の手口

展信先生

「許しなさい」の罠。加害者の見えない支配の糸に絡め取られていないでしょうか。許すことがあなたを救うのではなく、縛り付けるとき。気づいていますか？あなたが「許している」のではなく、巧妙にコントロールされているだけかもしれないという事実に。一歩離れて見えてくる真実があります。

見えない手錠としての「許し」

あなたは「許し」という言葉に、どんなイメージを持っていますか？

高尚な精神性、慈愛の心、成熟した人間関係…。

しかし、DVの関係の中での「許し」は、まったく異なる意味を持ちます。

DV加害者にとっては、それが「手口」なのです。

加害者は巧妙に「許し」を武器に変えます。 あなたの優しさと思いやりを、あなた自身を縛る鎖に変えてしまうのです。

許しを引き出す計算された行動

DVの相談を重ねる中で、このパターンを何度も目にしてきました。

暴力→謝罪→優しさ→暴力→謝罪→優しさ…

「もう二度としません」 「本当に反省しています」 「あなたがいないと生きていけない」

こうした言葉を涙ながらに語る姿を見れば、誰でも心を動かされます。

しかし、これは舞台の上の演技なのです。

あなたの「許す」という心を引き出すことさえも、DV加害者の意図なのです。

コントロールの仕組み

ある女性は相談の中でこう語りました。

「彼が謝るたび、私は『今度こそ変わってくれる』と信じました。許すことが私の役目だと思っていました。でも後になって気づいたんです—彼の謝罪は次の暴力への準備だったんだと」

これこそが真実です。

そう、あなたはコントロールされているのです。

加害者はあなたの反応を計算し、操作しています。 怒りと優しさを意図的に使い分け、あなたを混乱させます。 その混乱の中で、あなたは「許し」という名の従順さを学んでいきます。

真実を見極める目

「私は彼を許している」

そう思いこんでいるあなたへ。 本当にそうでしょうか？

あなたは「許しているのではない」。 残念だけれども、DV加害者から「無茶苦茶されている」だけなのです。

これは厳しい言葉かもしれません。 しかし、この現実を直視することが、あなたの解放への第一歩なのです。

本当の自由とは

ある男性相談者はこう語りました。

「妻を許し続けることが、男として強いことだと思っていました。でも先生との対話で気づいたんです。私は許していたのではなく、ただ恐怖に支配されていただけだったんだと」

真の自由とは何でしょうか。

それは「許す」という美名の下に自分を犠牲にすることではありません。 自分の感情に正直になり、自分の安全を最優先することです。

本当の自由は、コントロールの糸を切ることから始まります。

新しい人生のために

「私は許せる人間でありたい」

その気持ちは素晴らしいものです。 しかし、それがあなた自身を傷つけるものであってはなりません。

DVの関係から抜け出すとき、必要なのは「許し」ではなく「境界線」です。

自分を守る境界線を引くことは、自己否定ではなく自己肯定なのです。

ひろのぶ先生

あなたの人生は、あなたのものです。誰かの支配の道具ではないのです。

細川展信先生

取次師

はじめまして。私は家庭内暴力・DV問題に取り組む取次師として活動している細川展信(ほそかわ ひろのぶ)と申します。長崎県平戸市出身の43歳。現在は妻と共に苦しんでおられる方のお話を聴かせていただいております。 私は「家庭内暴力・DVからのたすかり」を人生の使命として、これまで数百人もの危機的状況にある方々のサポートに携わってきました。「もう生きていけない」「この状況から逃れられない」と絶望の淵に立たされた方々の声に真摯に耳を傾け、具体的な脱出・回復への道筋を提示することを心がけています。 暴力の現場に立ち会い、その痛みを間近で見てきた経験から、私は声のトーンや話し方にも細心の注意を払っています。低く落ち着いた声でゆっくりと話すことで、トラウマを抱えた方々が少しでも安心して相談できる環境づくりに努めています。 故郷・平戸の強いツツジのように、どんな逆境にあっても人は新たな人生を咲かせることができる—この信念のもと、被害者の方々の自立と尊厳の回復をサポートしています。 このブログでは、DVや家庭内暴力から脱出するための具体的方法、心の回復プロセスなど、実践的な情報を綴っていきます。どなたか一人でも、この情報が命綱となることを願って。 あなたは一人ではありません。必ず助かる道はあります。