DV被害者の心理

DVとはどのような行為 — 見える暴力と見えない支配

hosokawa
展信先生
展信先生

DVとは単なる暴力だけではありません。心を殺し、魂を支配する行為のすべてがDVなのです。言葉、態度、無視、経済的束縛…それらは目に見える傷を残さなくても、魂には深い傷を刻みます。「暴力をふるっていない」は言い訳にはならないのです。

DVというと、多くの人は「殴る」「蹴る」などの身体的暴力を思い浮かべるでしょう。

しかし、DVの本質は「支配」であり、その形はさまざまです。 身体に傷が残らなくても、魂に深い傷を刻む行為すべてがDVなのです。

今回は、どのような行為がDVになるのか、具体的にお伝えしていきます。

身体的暴力 — 見える傷

最も分かりやすいDVが身体的暴力です。

  • 殴る、蹴る
  • 物を投げつける
  • 突き飛ばす
  • 髪を引っ張る
  • 腕をねじる

これらの行為は、体に傷や痛みを残します。 分かりやすいからこそ、「これはDVだ」と認識されやすいのです。

でも、ある加害者はこう言いました。 「俺は本気で殴ってないから、DVじゃない」

これは大きな誤解です。 相手を怖がらせるために手を挙げるだけでも立派なDVなのです。

精神的暴力 — 心を殺す言葉

言葉の暴力は、体の傷よりも長く残ります。

  • 「お前はダメだ」と否定する
  • 「誰も信じない」と孤立させる
  • 大声で怒鳴りつける
  • 無視する(モラハラ)
  • 常に監視する

ある被害者は語りました。

「殴られた痛みは数日で消えました。でも『お前は何をやってもダメだ』という言葉は、何年たっても頭の中で繰り返し聞こえてくるんです」

言葉の傷は目に見えません。だからこそ、周囲に気づかれにくく、自分自身も「これはDVだ」と認識しにくいのです。

社会的暴力 — 孤立への道

DVの加害者は、被害者を社会から切り離します。

  • 友人との付き合いを制限する
  • 実家への連絡を監視する
  • SNSやメールをチェックする
  • 外出を制限する
  • 服装や髪型を決める

ある女性はこう語りました。

「最初は『心配だから』と言われて嬉しかった。でも気づいた時には、友達も家族も、誰とも連絡が取れなくなっていました」

支配の第一歩は孤立させること。 助けを求められないようにすることで、支配関係から逃れられなくなるのです。

経済的暴力 — お金という鎖

経済的に自立できなくさせることも、DVの一形態です。

  • 生活費を渡さない
  • 働くことを禁止する
  • 収入をすべて取り上げる
  • 浪費して借金を作る
  • お金の使い道を細かく報告させる

ある男性はこう語りました。

「妻が私の給料をすべて管理し、小遣いとして少額だけくれました。自分のお金なのに、コーヒー一杯買うのにも許可が必要だったんです」

経済的な自由を奪われると、逃げるための資金さえ確保できません。 これもまた、支配の手段の一つなのです。

性的暴力 — 尊厳の破壊

性的な関係においても、支配は表れます。

  • 合意のない性行為を強要する
  • 避妊に協力しない
  • 性的な行為を他者に話す
  • 性的な価値で相手を評価する

結婚していても、合意のない性行為は暴力です。 「夫婦だから当然」という考えは誤りなのです。

子どもを利用した暴力

子どもを巻き込むことも、DV加害者はためらいません。

  • 子どもの前でパートナーを罵る
  • 「子どもを会わせない」と脅す
  • 子どもに「どっちが好き?」と選ばせる
  • 子どもを通じてパートナーを監視する

これは子どもにとっても深い心の傷となります。 子どもの健全な成長を妨げるこの行為は、虐待の一形態でもあるのです。

見えないDVに気づくために

「これってDVなのかなぁ」と悩んでいる方へ。

パートナーの行動が怖くありませんか?パートナーの言葉で傷ついていませんか? パートナーの態度で縛り付けられていませんか?

DVの本質は「力と恐怖による支配」です。 肉体的な暴力をふるっていなくても、自由や尊厳を奪う行為はすべてDVなのです。

あなたの感覚は正しいのです。 「気にしすぎだ」と言われても、あなたの痛みは本物です。

一人で抱え込まず、ご相談ください。 そして、新しい一歩を踏み出しましょう。

DVの連鎖を断ち切るのは、決して簡単なことではありません。 でも、不可能ではないのです。

ひろのぶ先生
ひろのぶ先生

あなたの魂の奥に寄り添わせていただきます。 どうぞ一人で悩まないでください。

ABOUT ME
細川展信先生
細川展信先生
取次師
はじめまして。私は家庭内暴力・DV問題に取り組む取次師として活動している細川展信(ほそかわ ひろのぶ)と申します。長崎県平戸市出身の43歳。現在は妻と共に苦しんでおられる方のお話を聴かせていただいております。 私は「家庭内暴力・DVからのたすかり」を人生の使命として、これまで数百人もの危機的状況にある方々のサポートに携わってきました。「もう生きていけない」「この状況から逃れられない」と絶望の淵に立たされた方々の声に真摯に耳を傾け、具体的な脱出・回復への道筋を提示することを心がけています。 暴力の現場に立ち会い、その痛みを間近で見てきた経験から、私は声のトーンや話し方にも細心の注意を払っています。低く落ち着いた声でゆっくりと話すことで、トラウマを抱えた方々が少しでも安心して相談できる環境づくりに努めています。 故郷・平戸の強いツツジのように、どんな逆境にあっても人は新たな人生を咲かせることができる—この信念のもと、被害者の方々の自立と尊厳の回復をサポートしています。 このブログでは、DVや家庭内暴力から脱出するための具体的方法、心の回復プロセスなど、実践的な情報を綴っていきます。どなたか一人でも、この情報が命綱となることを願って。 あなたは一人ではありません。必ず助かる道はあります。
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