心の影 — DV被害者になりやすい特性を理解する

hosokawa
展信先生
展信先生

DVの被害者になりやすい人の特性について考えてみました。見えない心の傷を抱えた方々への理解が深まれば幸いです。

私たちの周りには、目に見える暴力と目に見えない暴力が存在します。どちらも人の心と体を深く傷つけるものです。今日は特に、なぜある人々がDVの被害者になりやすいのかについて考えてみたいと思います。

見えない連鎖

「先生、私はなぜいつも同じような人を好きになってしまうのでしょうか」

ある女性からこのような相談を受けました。彼女は複数の関係で暴力を経験し、自分自身を責める日々を送っていました。

これは偶然ではありません。私たちは無意識のうちに、自分にとって「慣れた関係性」を選んでしまう傾向があるのです。

被害者になりやすい特性

1. 自己価値感の低さ

自分に価値がないと感じている人は、他者からの批判や虐待を「当然のこと」として受け入れてしまいます。

「私はこれくらいの扱いを受けても仕方ない」 「もっと頑張れば、相手は変わってくれるはず」

このような思いが、虐待的な関係から抜け出せない原因となります。

2. 境界線の曖昧さ

健全な人間関係には、明確な境界線が必要です。しかし、幼少期に自分の気持ちや意見を尊重されなかった人は、大人になっても境界線を設けることが難しくなります。

「NOと言えない」 「相手の機嫌を損ねることへの恐怖」

これらは全て、境界線の問題と深く関わっています。

3. 愛と支配の混同

愛情と支配は全く別物です。しかし、幼少期に愛情と支配が混同された環境で育った人は、大人になっても「嫉妬や束縛=愛情表現」という誤った認識を持ってしまうことがあります。

「彼が怒るのは、私のことを大切に思ってくれているから」

このように考えて、支配的な行動を愛の証として誤解してしまうのです。

4. 過剰な責任感

被害者になりやすい人の多くは、他者の感情や行動に対して過剰な責任を感じる傾向があります。

「彼が暴力を振るったのは、私が彼を怒らせたからだ」 「もっと上手く立ち回れば、こんなことにはならなかった」

自分が相手の行動をコントロールできると錯覚し、相手の暴力の責任まで背負ってしまうのです。

心の奥に潜む幼少期の傷

これらの特性は、多くの場合、幼少期の経験から形成されます。

親から適切な愛情を受けられなかった子どもは、「愛されるためには自分を犠牲にしなければならない」という誤った学びを得ます。

また、家庭内でDVを目撃して育った子どもは、暴力的な関係を「普通のこと」として認識してしまうことがあります。

こうした「見えない学習」が、大人になってからの人間関係に大きな影響を与えるのです。

癒しへの道筋

「このような特性を持っている自分は、永遠に被害者のままなのでしょうか?」

そんなことはありません。自分自身の特性を理解することは、癒しの第一歩なのです。

1. 自己認識を深める

まずは自分の特性や傾向を知ることが大切です。なぜ自分がこのような関係に引き寄せられるのか、パターンを理解しましょう。

2. 境界線を学ぶ

健全な境界線とは何か、どのように自分の境界線を守るかを学びましょう。最初は難しく感じるかもしれませんが、少しずつ練習することで身についていきます。

3. 御取次をいただき自分が尊重される体験をする

御取次をいただきながら、自分が尊重される体験をしていくと、世界が変わります。自分の話を聴いてもらえる環境で、立ち上がる勇気が培われていきます。

最後に

DVの被害者になりやすい特性を持っていることは、決して恥ずべきことではありません。それは、あなたが過去に受けた傷の結果なのです。

大切なのは、自分自身を責めるのではなく、癒しと成長の道を歩み始めることです。

ひろのぶ先生
ひろのぶ先生

あなたには、健全で愛に満ちた関係を築く力があります。一人で悩まず、必要なサポートを求めてください。

ABOUT ME
細川展信先生
細川展信先生
取次師
はじめまして。私は家庭内暴力・DV問題に取り組む取次師として活動している細川展信(ほそかわ ひろのぶ)と申します。長崎県平戸市出身の43歳。現在は妻と共に苦しんでおられる方のお話を聴かせていただいております。 私は「家庭内暴力・DVからのたすかり」を人生の使命として、これまで数百人もの危機的状況にある方々のサポートに携わってきました。「もう生きていけない」「この状況から逃れられない」と絶望の淵に立たされた方々の声に真摯に耳を傾け、具体的な脱出・回復への道筋を提示することを心がけています。 暴力の現場に立ち会い、その痛みを間近で見てきた経験から、私は声のトーンや話し方にも細心の注意を払っています。低く落ち着いた声でゆっくりと話すことで、トラウマを抱えた方々が少しでも安心して相談できる環境づくりに努めています。 故郷・平戸の強いツツジのように、どんな逆境にあっても人は新たな人生を咲かせることができる—この信念のもと、被害者の方々の自立と尊厳の回復をサポートしています。 このブログでは、DVや家庭内暴力から脱出するための具体的方法、心の回復プロセスなど、実践的な情報を綴っていきます。どなたか一人でも、この情報が命綱となることを願って。 あなたは一人ではありません。必ず助かる道はあります。
記事URLをコピーしました