DV被害者のケアと回復

DVは治るのか — 根源的な癒しの可能性

hosokawa
展信先生
展信先生

「DV加害者は治らない」とよく耳にします。しかし私は、根本的な癒しがあれば変化の可能性を信じています。寂しさという闇から目を逸らさず、魂の奥で泣いている自分に気づくこと。それが変化の始まりなのです。治るか否かではなく、真の幸せへの道を選ぶか否かなのです。

「DV加害者は変わらない」「一度でもDVをする人は必ず繰り返す」

こうした言葉をよく耳にします。 実際、多くの専門家も「DVは治らない」と言います。

これは本当なのでしょうか? 今日は、この難しい問いと向き合ってみたいと思います。

単純な答えはない

まず、はっきりさせておきたいことがあります。

暴力から身を守ることは最優先事項です。 「治るかもしれない」という希望だけで、危険な状況に留まるべきではありません。

それを踏まえた上で、私の経験からお話しします。

私は多くのDV加害者と向き合ってきました。 彼らの瞳の奥を覗き込み、その魂の叫びを聴いてきました。 そこから見えてきた答えは「単純ではない」ということです。

表面的な「治す」という発想

「治る」という言葉自体に問題があるのかもしれません。

風邪を治す。骨折を治す。 こうした物理的な治療とは違います。

DVの問題は表面的な行動だけではなく、その根底にある魂の闇、心の傷、そして生きてきた歴史の問題です。

ある男性は言いました。 「俺は変わりたいんだ。でも、どうすれば変われるのかわからない」

彼は本気でした。でも、何十年も続けてきた行動パターンは、簡単には変わらないのです。

変化の可能性

それでも、私は変化の可能性を信じています。

なぜなら、実際に変わった人を見てきたからです。

ある男性は、幼少期の虐待の経験から、暴力でしか感情を表現できませんでした。 妻を殴り、子どもを脅し、家庭を崩壊させました。

彼が変わり始めたのは、自分の「寂しさ」と向き合った時でした。 「俺は寂しかったんだ。ずっと誰かに認められたかったんだ」

この気づきが、彼の人生の転機となりました。

本当の変化に必要なもの

DVが「治る」ためには、いくつかの要素が必要です。

第一に、自分の問題と向き合う勇気。 「お前のせいで怒った」ではなく、「自分の中に問題がある」と認める勇気です。

第二に、根源的な原因への気づき。 暴力の裏にある寂しさ、恐れ、自己否定を見つめる必要があります。

第三に、新しい関係性の構築。 支配ではなく、対等な関係を学び直すのです。

第四に、継続的なサポート。 一人では変われません。専門家や信仰の力が必要です。

魂の叫びを聴く

私が出会ったDVの加害者たちの多くは、魂の奥で泣いていました。

子どもの頃に愛されなかった記憶。 傷つけられた経験。 自分の存在が否定された痛み。

彼らは自分の痛みから目を逸らすために、他者を支配しようとするのです。

ある男性はこう言いました。 「俺は弱いところを見せられなかった。弱いと思われたくなかった。だから強がって、支配することでしか自分を保てなかった」

この気づきが、彼の変化の始まりだったのです。

信仰の力

深い変化のためには、人間の力だけでは足りないことがあります。

神様の愛に触れることで、人は根本から変わることができるのです。

「あなたはあなたのままで価値がある」 「あなたは愛されている」

この神様からのメッセージが、魂の奥深くまで染み渡る時、本当の変化が始まるのです。

私が金光教の取次師として大切にしているのは、この魂の変容です。 表面的な行動の変化ではなく、魂の根源からの癒しが起こる時、本当の意味で「治る」のです。

それでも簡単ではない

しかし、正直に言えば、それは簡単な道ではありません。

何十年も続いた行動パターンは、一朝一夕には変わりません。 魂の奥にある傷を癒すには、長い時間がかかります。

ある加害者は2年間、毎週お取次を受け、自分と向き合い続けました。 それでも、時には古い支配パターンに戻ることがありました。

でも、彼は諦めませんでした。 一歩ずつ、前に進み続けたのです。

最後に

「DVは治るのか」という問いへの答えは、実は別の問いかもしれません。

それは「人は変われるのか」という問いです。 そして「魂は癒されるのか」という問いです。

私はこの問いに「はい」と答えたいと思います。

ただし、それは簡単ではありません。 絶え間ない努力と、周囲のサポート、そして神様の導きが必要です。

DVの問題を抱える方々へ。 被害者の方は、安全を最優先にしてください。 加害者の方は、自分の魂の叫びに耳を傾けてください。

ひろのぶ先生
ひろのぶ先生

変化の可能性を信じながらも、現実から目を背けない。 それが、私たちが向き合うべき道なのだと思います。

ABOUT ME
細川展信先生
細川展信先生
取次師
はじめまして。私は家庭内暴力・DV問題に取り組む取次師として活動している細川展信(ほそかわ ひろのぶ)と申します。長崎県平戸市出身の43歳。現在は妻と共に苦しんでおられる方のお話を聴かせていただいております。 私は「家庭内暴力・DVからのたすかり」を人生の使命として、これまで数百人もの危機的状況にある方々のサポートに携わってきました。「もう生きていけない」「この状況から逃れられない」と絶望の淵に立たされた方々の声に真摯に耳を傾け、具体的な脱出・回復への道筋を提示することを心がけています。 暴力の現場に立ち会い、その痛みを間近で見てきた経験から、私は声のトーンや話し方にも細心の注意を払っています。低く落ち着いた声でゆっくりと話すことで、トラウマを抱えた方々が少しでも安心して相談できる環境づくりに努めています。 故郷・平戸の強いツツジのように、どんな逆境にあっても人は新たな人生を咲かせることができる—この信念のもと、被害者の方々の自立と尊厳の回復をサポートしています。 このブログでは、DVや家庭内暴力から脱出するための具体的方法、心の回復プロセスなど、実践的な情報を綴っていきます。どなたか一人でも、この情報が命綱となることを願って。 あなたは一人ではありません。必ず助かる道はあります。
記事URLをコピーしました